Non extraction できるだけ歯を抜かない矯正

できるだけ歯を抜かない矯正 Non tooth extraction

できるだけ歯を抜かない矯正

矯正治療は、歯を抜かなくても治療できることがあります。「せっかくの健康な歯を抜きたくない」という方のために、永福矯正歯科クリニックではできるだけ「非抜歯での治療」を行なえるよう、治療計画を立案しています。
原則的には症状や年齢などを考慮し、それぞれの患者さまに合った治療計画を立てて治療を進めていきます。一般的に、患者さまは歯を抜きたがらないものです。しかし、矯正治療では歯並びだけでなく口元の美しさも重要なポイントになるため、総合的に判断すると、歯を抜くほうが患者さまにとって良いこともあります。
そのようなときは、矯正歯科医として責任をもって「抜いたほうがいい理由」「抜かない場合のリスク」などを患者さまにお伝えし、同意をいただいてから治療を始めます。

歯を抜かない矯正の治療方法

患者さまと同じく、矯正歯科医も抜かなくていい歯を抜きたいわけではありません。
デコボコな歯をきれいに並べたり、出ている歯を引っ込めたりするために、できるだけ歯を抜かずに治療することを考えた場合、歯列のどこかにスペースを作る必要があります。
そのために、下記のような方法を検討します。

  1. STEP 01

    奥歯を移動する

    人間の歯は、親知らずを除いて通常28本あります。このうち上下左右の7番(いちばん奥の歯)を奥に動かしてスペースを作ります。移動の限界があるため、その程度には個人差があります。
    子どもの場合は6番の歯を奥へ動かします。この場合、年齢によって動きやすさが異なるので、タイミングが重要になります。
    歯科矯正用アンカースクリュー(矯正用インプラント)を使うことがあります。

    奥歯を移動する
  2. STEP 02

    歯列を側方拡大する

    歯列の幅が狭い場合は、拡大装置という矯正装置を使って歯列を側方に広げて、歯をきれいに並べるためのスペースを作ります。

    歯列を側方拡大する
  3. STEP 03

    歯を削る(成人のみ)

    各歯と歯の間を少しずつ削ってすき間を作ります。
    歯の表面はエナメル質でコーティングされているので、1/4~1/3程度であればこの部分を削っても、その後きれいに研磨することで虫歯の発症やしみることを防げます。

    歯を削る(成人のみ)

抜歯と非抜歯のメリット・デメリット

歯を抜く場合 Tooth extraction

メリット
  • 上下の歯のバランス、口元のバランスが良くなります。
  • 骨格的に問題があっても、ほとんどの場合外科手術をせず治せます。
デメリット
  • 歯を抜く必要があります。

歯を抜かない場合 Non extraction

メリット
  • 歯を抜かずにすみます。
デメリット
  • 口元の突出感が出ることがあります。
  • 歯を抜かないといっても、親知らずがある場合は上記①の治療の妨げとなるので、ある場合には抜く必要があります。
  • 上記「STEP01」「STEP02」の治療をするため、通常の矯正装置以外にも装置を使うことがあります。
  • 骨格的に問題があるときは、外科手術をともなうことが多くあります。

できるだけ歯を抜かない矯正の注意点

  • 歯を抜くと歯列が小さくなるので、治療後は口元が引っ込んできれいになりますが、歯を抜かない場合は歯列を大きくして歯を並べるので、治療後はいまよりやや口元が出る場合があります。
  • 矯正治療における抜歯の基準は、治療のゴールをどこに設定しているか(治療の価値をどこに置いているか)によって異なります。
  • 明らかに歯を抜かずに治療できる症状もありますが、場合によってはどうしても歯を抜かなければならない症状もあります。患者さまの症状に合った適切な治療計画をご提案しますので、その説明を聞いたうえでご検討ください。

矯正治療にともなう一般的なリスク・副作用

・機能性や審美性を重視するため自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
・最初は矯正装置による不快感、痛みなどがあります。数日から1~2週間で慣れることが多いです。
・治療期間は症例により異なりますが、成人矯正や永久歯がすべて生え揃っている場合は、一般的に1年半~3年を要します。小児矯正においては、混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)に行なう第1期治療で1~2年、永久歯がすべて生え揃った後に行なう第2期治療で1~2年半を要することがあります。
・歯の動き方には個人差があるため、治療期間が予想より長期化することがあります。
・装置や顎間ゴムの扱い方、定期的な通院など、矯正治療では患者さまのご協力がたいへん重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
・治療中は、装置がついているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まるので、丁寧な歯磨きや定期メンテナンスの受診が大切です。また、歯が動くことで見えなかった虫歯が見えるようになることもあります。
・歯を動かすことにより歯根が吸収され、短くなることがあります。また、歯肉が痩せて下がることがあります。
・ごくまれに、歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
・ごくまれに、歯を動かすことで神経に障害を与え、神経が壊死することがあります。
・治療中に金属などのアレルギー症状が出ることがあります。
・治療中に、「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口をあけにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
・問題が生じた場合、当初の治療計画を変更することがあります。
・歯の形状の修正や、噛み合わせの微調整を行なうことがあります。
・矯正装置を誤飲する可能性があります。
・装置を外すときに、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、補綴物(被せ物など)の一部が破損することがあります。
・装置を外した後、保定装置を指示どおりに使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
・装置を外した後、現在の噛み合わせに合わせて補綴物(被せ物など)の作製や虫歯治療などをやり直す可能性があります。
・顎の成長発育により、噛み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
・治療後に親知らずが生えて、歯列に凹凸が生じる可能性があります。
・加齢や歯周病などにより歯を支える骨が痩せると、歯並びや噛み合わせが変化することがあります。その場合、再治療が必要になることがあります。
・矯正治療は、一度始めると元の状態に戻すことが難しくなります。